第52号 機械工学科同窓会報 機械工学科同窓会報を4回に渡り,毎週水曜日に公開していきます.
完成年度を向かえて
今年度は理工学部の完成年度で、年度末には理工学部機械工学科として最初の卒業生を送り出す、記念すべき年度です。4年生は卒業研究の完成に向けいよいよアクセルを踏む時期に差し掛かっている時期かと思われます。今年は、3月11日の大地震、それが原因となって引き起こされた大津波、そして福島原子力発電所の事故と、未曽有鵜の国家的危機や困難に遭遇し、その影響は今後、相当期間続きそうな状況にあります。この地震が起きたのは研究棟から新設の北館への移転作業の最中で、研究棟の窓ガラスの破損や一部天井の落下が起きましたが、後期授業終了後であったことも幸いし、学生をはじめ教職員には負傷者が出なかったことは大変幸運でした。例年のような盛大な卒業式、入学式は行われませんでしたが、完成したばかりの北館への移転も無事終わり、新学期は例年に遅れることなく始まり、夏には計画停電により教室等での空調環境に多少の影響はありましたが、無事、前期を終了しました。後期の授業も順調に回りだし、来月初めには小金井祭を迎えるという時点に来ています。
今回の災害からの復興や事故のリスクを極限まで抑える技術の開発には、ものづくりを担う機械工学を修めた若い卒業生たちが大きな力になることが期待されております。我々教員も、そのような期待に応えられる有為な人材を育てるため、これまで以上に努力する覚悟でございます。
国内の困難な状況に加え、ユーロ圏の金融危機や世界的なデフレといったグローバルな経済環境の悪化により就職戦線はさらに厳しくなることが予想されます。同窓会の皆様方には、卒業予定者の就職活動に対してもご支援を賜りますようお願い申し上げます。また、機械工学科の活動に対しても、引き続きご指導、ご支援をいただきますよう重ねてお願い申し上げます。
学部・大学院の一貫教育を目指して
競争力の高い先端製品開発に加えて安全安心な社会インフラ整備など、基盤的な工学に対する社会からの要求は高度化しています。総合的なものづくり技術としての機械工学には、社会からの強い期待があります。機械工学専攻の修士課程の学生は、現在2年生49名、1年生61名と増加の傾向にあり、今後より多くの大学院修了者が社会に巣立っていくことが見込まれています。
社会からの高度技術者への期待に応えるべく、学部教育と大学院教育の一貫化を目指して大学院の再編が計画されています。大学院機械工学専攻では担当教員は全員学部の機械工学科の担当教員であり、機械工学専攻と機械工学科のカリキュラムはすでに十分な連続性を持つように構成されており、教育の一貫化が担保されています。
修士論文研究では、いくつかの例を挙げれば、金属材料強度・欠陥評価、塑性加工法、CFRP性能評価、回転機械内部流れ解析・振動騒音解析、混合気燃焼現象評価・改善、ロボット・スポーツ機器制御・力学解析などがあり、基礎的な分野から製品評価に至るまで、様々な興味深い課題が取り上げられています。
航空操縦学専修の現況
日本で最初に学生に飛行機操縦を教えようと、1929年法政大学に航空研究会が出来ました。その伝統を受け継いで2008年に理工学部に航空操縦学専修が誕生し今年は完成年度を迎えております。
現在4年生まで79名のパイロットの卵たちがフライト訓練を受けました。自家用操縦士のライセンスを取得し、「飛べるエンジニア」として航空関係の企業に就職を目指すコースと、事業用操縦士のライセンスを手にして「プロパイロット」を目指すコースとに分かれています。1年次、2年次から各5時間の飛行訓練が始 まり、3年生は今埼玉県桶川市にある本田飛行場で自家用ライセンス目指して毎日飛び回っています。エアラインパイロットを目指す4年生は、神戸空港の訓練所で、最終訓練の双発機、計器飛行訓練を行っています。
すでにエアラインへの就職活動も始まっております。
80年前に法政の学生が「青年日本号」でローマへの飛行を成し遂げました。そのフロンティアスピリッツを受け継ぎ後輩パイロット達は、世界に羽ばたく日を夢見て訓練に励んでいきます。
会長退任のあいさつ「感謝・勤労・協力」
機械工学科同窓生の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
2008年度からの3年間、皆様方に支えられ、同窓会会長の職を大過無く終えることができましたことを、この場をお借りして、お礼申し上げます。
私は、会長である間、先輩諸氏が築かれたレールの上を何とか脱線せずに歩むよう努めてまいりましたが、毎年恒例となっていた「イブニングセミナー」を昨年度に開催できなかったことは今でも悔やまれます。
その一方、関係各位のご協力により、同窓会の大きな節目となる「学科創立65周年・同窓会創立50周年」を、2010年6月に無事に開催できたことは、同窓会にとりましても、私にとりましても大きな財産であった と思っております。
私は、組織の活性化を図る上でも、在校生に親しみを持たれる身近な組織とする面からも、若い卒業生に同窓会活動の輪に参加していただき、様々なご意見を頂戴し、卒業生と在校生の交流を推進するような事 業や活動が必要であると感じております。
表題の「感謝・勤労・協力」は、私が卒業した中学校の校訓ですが、「自分を取り巻く周りへの感謝を忘れず、自分に与えられた使命に、周囲と協力して取り組む姿勢が何よりも大切である。」と語っているので はないかと思っております。
退任後も、同窓会の一員として皆様とともに、大学、同窓会の発展に微力を尽くす所存でございます。
結びに、会員各位のご活躍とご健勝を祈念申し上げ、退任の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。