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第31号 法友工体連会報を4回に渡り,毎週木曜日に公開していきます.

活躍する工体連OB(13) エネルギーが満ち溢れる 裕気塾 原田 裕次(柔道部 建築 79 )

 縁あって、ここ長野の地へ越してきてから早20年近くが過ぎようとしています。現在、私は「裕気塾(ゆうきじゅく)」という一般・シニアを対象とした健康教室、幼児・少年少女を対象とした少年武道教室、中高生対象の武道CLUBを長野と東京に開設しております。また、2006年よりデイサービスのお年寄りに健康法の指導も始めました。
 「裕気」というのはエネルギーが満ち溢れるという意味で、身体の内側から活力が湧き起こる状態が心身共に健康 であり、その健康こそが「強さ」の原点であると考え、試行錯誤しながら自らの研鑚と指導の毎日を送っています。  なぜ、私がこのようなことを生業にするようになったか、簡単な経緯を辿ってみたいと思います。
【空手との出会い】
 小さい時から人一倍「強くなりたい」という気持ちが強かったと思います。それは当時の映画やテレビに登場する ヒーロー的な「達人」への「憧れ」が原因だったのでしょう。
 自然な流れとして中学、高校と柔道部に入りました。別段それ程強いわけではなかったのですが、一所懸命はやっ ていました。
 そんな時、週刊少年マガジン連載の「空手バカ一代」という漫画に強烈に引きつけられます。主人公の大山倍達は 架空の人物ではなく実在しているところが大きな魅力でした。ですが、近所に道場もなく空手をやるまでには至りま せんでした。
 が、その時は突然訪れました。大学に入っても先輩方の人柄に惚れ柔道部員になりましたが、3年になり余裕が出 始めたある日、偶然立ち寄った武蔵境のボーリング場の前に「その方」はいらっしゃいました。
 その方とは佐藤勝昭先生です。そうです、極真会の初代世界チャンピオンです。前述の「空手バカ一代」やドキュ メンタリー映画では空前のヒットとなった「地上最強の空手」で主役級の扱いをされていましたので、極真の大ファ ンになっていた私としては天にも昇る気持ちでした。
 早速入門して、柔道部の練習が終わってから空手の稽古という厳しくも充実した修行が始まりました。空手を始め て2年が過ぎた第11回全日本大会で大山先生の目に留まり、館長推薦の特別枠で第2回世界大会の日本代表選手に 選ばれます。ニューヨークでの一ヶ月半の武者修行を経ての世界大会でしたが、膝の故障で思うような稽古が出来ず 不本意な成績となりました。
 本来ならば卒業後は建設会社に就職するはずでしたが、不完全燃焼で終わることが納得できず、佐藤先生の了承を 得て指導員の道を選びます。
【裕気へ】
 元来、教えるのも好きだった私は指導員として生徒を導くこと、特に少年部の子ども達を指導することに情熱を燃 やしました。

 もちろん、自らの稽古にも真剣に取り組んでいました。最先端の科学トレーニングも取り入れていましたが思うよ うな結果が出ず、暗中模索の中で出会ったのが「気:西野流呼吸法」です。西野皓三先生の驚くべき強さに接し、自 分が求めていた「達人」の世界が見えてきました。この呼吸法を根幹に据えて身体を創りかえることで「真の武道」 が成り立つと確信しました。
 本物の「武道」とは「強さ」と「人間性」そして「健康」が三位一体で向上していくものでなければなりませ ん。しかし、そうは言っても体現出来なければ「絵に描いた餅」で終わってしまいます。「これは!」と思ったこ とが「違うか…」と言うことの繰り返しです。
 ですが、塾を開いて20年、漸く遠くの方に光が見えてきました。私はこの本物の「武道」が混迷のこの世の中を救 う大きな鍵になると思っております。自分の主義主張をしっかり持ち、それでいて絶妙な心遣いが出来る…そのよう な人間を時代は必要としてると。そんな「武人」を一人でも多く世の中に送り出すことが天命と信じ日々精進してい ます。
 最後に、今は亡き松本先輩、西野先輩、涌井先輩、顧問であり同志であった岡先生のご冥福を祈り、皆のご恩に 報いるよう今後も、より自分を高める所存です。