第34号 法友工体連会報を4回に渡り,毎週火曜日に公開していきます.
工体連OB会 会長再任にあたって
早いもので平成23年4月からあっという間に3年間が過ぎてしまいました。工体連は現役もOBもチームワークを最も大切にする団体です。
これまで諸先輩が築いてこられたこの良き伝統を大切に、会の運営に当たって参りました。年間5回開催の理事会の後の打ち上げがとても楽しく、仕事で理事会に出席出来なくても、二次会にだけ参加するOBもいたりと本当に楽しい3年間でした。
毎年6月に開催される「工体連お祭り」では、日頃あまり目にする事が出来ない学生の素顔とパフォーマンスに、出席したOB達も自分の部だけでなく、他の部の状況も知り得る貴重な機会となっております。
また、毎年9月の第二土曜日に開催される「阿部鞏杯」争奪各部OB会対抗ゴルフコンペでは、毎年熱い戦いが繰り広げられ、各部とも優勝に向けてハイレベルな戦いを繰り広げています。戦い終わった打ち上げパーティーでは、結果発表に一喜一憂し、優勝チームへの祝福と次年の雪辱を誓う話で大変な盛り上がりとなっています。
一方で今後の課題としては、どの卒業生団体でも同じでしょうが組織の若返りをどう推進するかと云う事です。固定したメンバーの結束は大変堅く心強いのですが、今後は若い人が入り易いような組織にして行かなければなりません。今回の改選にあたり、任期の3年間のメインテーマと捉え、会の運営に当たって行きたいと思っています。
その為に今期は新たに2名の次世代を背負う副会長を選任しました。
2期目となる今期は理事長・副会長を先頭に、若いOBの方々にも色々な場で活躍して頂き、組織の活性化・若返りを図るよう心掛けて運営に当たりたいと思います。
現在、工体連加入21 部中、OB会活動に参加している部は15部です。
硬式野球部・卓球部・合気道部・アルティメット部・ラグビー部・アメリカンフットボール部の6部にはまだOB会が無く、事ある毎に6部のOB会設立を働き掛けて行きたいと思います。
小金井キャンパスはすっかりモダンな校舎に生まれ変わり、昔と違い制約も多く、学生の活動も色々と大変なようです。我々OBは少しでも学生が活動し易くなるよう尽力して参りたいと思います。
そして学生諸君には、工体連での活動を通じ、困難に打ち勝つ、明日の日本を背負うような逞しい若者になって巣立ってほしいと願っております。
今後ともなお一層の皆様のご支援を、心よりお願い申し上げます。
スポーツと魂
あるスポーツ科学に関するシンポジュウムのパネラパネリストとして招待されたことがありました。テーマは「スポーツと知識創造」であり、スポーツにおける暗黙知を形式知へ展開することを目的とするものでした。
暗黙知とは互いが言語を交わさずに理解できる知であり、形式知は言語や科学的表現で表現された知です。要はスポーツに科学的なアプローチを導入する基礎について話し合おうというものです。
パネラーは一流メンバーで、北京五輪4×100mリレー銅メダリスト朝原宣治氏、元全日本女子ソフトボール監督宇津木妙子さん、元全日本女子バレーボール監督柳本晶一氏、FC東京バレーボールチーム普及コーチ内島誠氏、小生、法政大学理工学部創生科学科教授渡邊嘉二郎、司会は早稲田大学スポーツ科学学術院教授間野義之氏でした。
シンポジュウムに先立ち、司会者、パネラーで昼食を共にしました。その席で、ただならぬピリピリした空気を感じました。その発生源は宇津木妙子さんと柳本晶一氏であったと記憶しています。
その会話の端々に「スポーツに科学を入れたって」とか「よそ者が何を言っている」ということに近いことを「私は頭が悪いので科学なんてわかりません」という言葉から感じ取ったのでした。
もちろんこれは感じであり、まさに暗黙知で形式的に確認されたものではありません。その空気に、私は入ってはならない世界に入ってしまったと強く感じたのです。
そして、私の発表の最初に次のような発言をせざるを得ませんでした。「私はスポーツパーソンではなく、いわば科学技術者のようなものですが、先ほど、宇津木さんと柳本さんの話を聞いて、私自身押しつぶされるような感覚を受けました。」「それは、宇津木さんと柳本さんが話されたことは、スポーツは魂と言っていると思ったからです。科学者が眼鏡の奥で冷静にものを観るというだけでスポーツは語れるものではありません。」この発言の後に、空気は一転して和やかになり、両者ともシンポジュウムの趣旨にあう話をしてもらうことができました。
しかしそれ以降、土足で、科学であれスポーツの世界には踏み込むべきではないことを肝に銘じてスポーツ科学の研究を続けています。
スポーツはその活動を通じてその人の魂を磨き上げるものなのです。フォームが合理的でも、そのフォームに魂が入っていなければ、練習や試合を観戦しても感動しません。稚拙でも全力プレーし、魂が入っていれば、感動を覚えるのです。スポーツは一つの全人教育なのでしょう。