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第13号 法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科同窓会報を4回に渡り,毎週火曜日に公開していきます.

 

社会資本整備を担う一員としての結束を

法土会(都市環境デザイン工学科同窓会)会長 吉田 保
 本年(2011年)4月より土木同窓会(法土会)の会長を拝命しました1973年卒の吉田です。会長任期3カ年の間、以下の3つの目標を持って、新しく任命された下記の副会長、理事、監事の方々と共に、様々な活動に取り組んで参りますので、宜しくお願い致します。
1.会員の増強とネットワークの強化
 本年3月、1950年~ 2010年卒の各年次ごとに2~3名の割合で、140名余りの幹事が選定 されました。これらの幹事の方々を核に、会員の増強、本誌などの広報に加えHPの充実を図るなどして、会員間の情報交換を密にする。
2.大学との連携強化
 今年で17回を迎える社会工学セミナーの開催や既に2年度にわたり実施した外濠清掃などの活動を通じて、大学の先生方、学生の皆さんとの連携をさらに深める。
3.外部への情報発信
 関連する社会的な出来事に対して、関連学会や協会などの他団体とも連携し、直接的あるいは間接的に様々な媒体を通して意見具申していく。
会 長 吉田 保(73年卒)
副会長 船木健治(66年卒)栄 毅熾(69年卒)山口 明(75年卒)
理 事 植松一純(67年卒)武内辰夫(72年卒)前田重行(78年卒)
    中村 徹(78年卒)大鹿順司(79年卒)浅見順一(80年卒)
    伊東 賢(81年卒)山川宏明(84年卒)上木泰裕(85年卒)
    栗木 実(87年卒)山田 誉(91年卒)三村 卓(94年卒)
監 事 白井英夫(69年卒)蛭川愛志(84年卒)
 会長就任にあたり、私と大学とのつながりに関して、昔を振り返り、少し紹介させていただきます。私の学生時代は、学園紛争の真っ只中で、工学部が封鎖されたこともあり、学業も儘ならない時代でした。私は大地ゼミに所属し、丁度、東大入試が1年間中止された年次に当たり4回生がほとんどいないこともあって、卒論は1年間は東大に通いました。テーマは「本州四国連絡橋斜長橋のガセット部の応力解析」で、毎日、模型実験と有限要素法による数値解析を、2~3人の同窓生と芝浦工大の学生と共に行っていました。実験や解析方法は指導教官が決め、我々は、日夜、地下の実験棟でゲージ貼りと載荷実験を行うと共に、根津にあった大型コンピューターセンターへデータカードのケースを持ち込み何ケースも計算を流したのを覚えています。その時、何を学んだかと言うことですが、応力解析や有限要素法の理論を学んだというよりも、既存の理論(解析値)と異なる実現象(実測値)が得られた時、理論に固執するのではなく、その実測値をも包含するような新たな仮説を立てるという研究姿勢の重要性を知ったような気がします。同時に、このことは口で言うほどたやすい事ではなく、粘り強さ、執念深さと体力が不可欠であることも思い知った次第です。
 卒業後、首尾よく希望した建設コンサルタント会社(日本工営)に就職し、大学時代の鋼構造ではなく、同じ構造系ということで地盤の研究室に配属となりました。初めは、学生時代の不勉強が祟って多少戸惑いましたが、対象物は異なっても、卒論を通じて応力や変形の計測方法やデータを分析する際の勘どころみたいなものをある程度身につけていたので、程無く、地盤の現場調査や室内実験もマスターし、徐々に、地盤のエンジニアとしてダム・河川、空港港湾、トンネルなど多様な業務に携わるようになりました。1970年代の後半、東京で下水道普及率100%を目指して多くのシールドトンネルが築造されている時期に、大規模なシールド掘削に伴う地盤変状の実態調査を任されることになりました。未解明のことが多かったため、だいぶ苦労はしましたが、試行錯誤の末一定の成果が得られ、それをきっかけに芋づる式に仕事に恵まれ、対外的にも専門分野ではある程度名前も売れ、様々な関連委員会の委員を委嘱されるようになりました。そんな時、南米で開かれた国際会議で論文発表する機会があり、それまでお名前だけは学会誌などを通じて知っていましたが、初めて、前会長の梅園先輩とお逢いしました。その後、それが御縁で、同窓の先輩方と次第にお近づきになることが出来、社の就職担当の立場で大学にも顔を出す様になりました。そんな折、土木工学科に博士課程が設立されたことを知り、思い切って挑戦したところ、草深先生のご指導のもと、学内の先生方、先輩方に御支援をいただき、1994年に博士号を取得することが出来ました。
 最近の大学との繋がりとしては、2004年から2009年までの6年間兼任講師として3回生に「地盤環境工学」を教えたことです。学外の人間なので、出来るだけ実社会のことを伝えようと、自分の係わったプロジェクトを出来るだけ盛り込みシラバスを構成しました。これから社会人として巣立つ学生の皆さんにとってどの程度お役に立てたかはわかりませんが、この経験を通じて、少なくとも、自分にとっては自らの現時点での技術屋人生を総括する丁度良い機会となりました。
 さて、現在の我々、土木建設業界を取り巻く外部環境を概観しますと、当面は、東日本大震災復興の需要により、一息つけるかもしれませんが、国の財政状況から鑑み公共事業費には限りがあり、中長期的にはやはり厳しいというのが大方の見方です。しかし、地震や洪水などの自然災害に対する防災対策は今後も必要ですし、戦後の経済成長期に構築したインフラ施設を維持管理し延命化を図る上にも、建設事業は欠くことが出来ないものです。従って、そのための財源を如何に確保するかという課題は避けて通れませんが、安心・安全な社会の実現のために、我々、建設産業の果たすべき役割は、まだまだ少なくないと思います。
 法土会の会員数は既に、5千数百名となり、全国の主要大学の同窓会にひけをとらない規模となりました。今後も、連携を密にし、力を結集して、共に、我が国の社会資本整備の一翼を担っていきましょう。


高橋・満木両先生退職記念書籍出版助成のお願い

会  長 吉田 保・主任教授 森  猛
 長年,指導いただいた恩師である高橋賢一先生,満木泰郎先生は来年3月をもって法政大学を定年退職されます。学科の市ヶ谷展開を機に地域貢献の一環として外濠を中心にした地域再生に学科教員の専門を活かした取り組みを行ってきました。この度,これらの研究成果を基にした「外濠 江戸東京の水回廊」(法政大学エコ地域デザイン研究所編:鹿島出版会)として出版する予定です。
 両先生にも各専門分野から新たな提案を盛り込んだ再生案について執筆していただいております。
 本書籍は両先生の退職記念として出版する予定でおります。そこで,皆様方には出版助成金のご協力をお願い申し上げます。